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猫のまたたび死亡は稀。過剰摂取の危険性と正しい与え方を徹底解説

猫のまたたび死亡は稀。過剰摂取の危険性と正しい与え方を徹底解説

猫のまたたび死亡は稀。過剰摂取の危険性と正しい与え方を徹底解説

「猫にまたたび」という言葉があるように、多くの猫がまたたびに強い反応を示すのはよく知られています。しかし一方で、「またたびは危険」「最悪の場合、死に至る」といった噂を聞き、愛猫に与えるのをためらっている飼い主さんもいるかもしれません。

結論から言えば、マタタビが原因で猫が命を落とすケースは極めて稀です。しかし、大量に摂取させたり、持病のある猫に与えたりすることで、重大な健康リスクを引き起こす可能性はあります。

この記事では、マタタビが猫に作用するメカニズムから、過剰摂取による具体的な危険性、そして愛猫の健康を守るための正しい与え方や注意点までを徹底解説します。


目次

1. なぜ猫はまたたびに夢中になるのか?その作用メカニズム

猫がまたたびに反応する現象は「マタタビ反応」と呼ばれます。これは猫の性質によるものであり、そのメカニズムは科学的に解明されています。

鍵となる2つの成分と猫への作用

またたびには、複数のイリドイド化合物が含まれており、その中でも特に猫の反応を引き起こす主要な物質は以下の2つです。

  1. マタタビラクトン類
  2. ネペタラクトール

これらの揮発性成分を猫が嗅ぐと、鼻の粘膜にある受容体が刺激され、脳の中枢神経に伝達されます。その結果、猫は人間でいう「多幸感」に近い状態になり、リラックスしたり、興奮したりする行動を示します。

最新の研究では、この多幸感は、モルヒネなどの鎮痛剤が作用するのと同じ「μ(ミュー)オピオイド系」という神経系が活性化することで生まれていることが判明しています。

マタタビ反応の行動パターンと効果時間

マタタビ反応が出た猫は、典型的には以下のような行動をとります。

  • 舐める、噛む
  • 顔や頭、体をマタタビに擦り付ける
  • 地面にごろごろと転がる
  • よだれを垂らす、興奮する

この恍惚とした状態は通常、約5分〜10分程度で治まります。一度反応を示すと、その後数時間は同じマタタビに興味を示さなくなることが多いです。

【最新の知見】マタタビ反応は「蚊よけ」行動だった

近年、日本の研究チームにより、「なぜ猫はマタタビに反応するのか」という長年の謎に対し、重要な一つの答えが示されました。

マタタビに体を擦り付ける行動は、興奮して遊んでいるだけでなく、蚊が嫌がる成分(ネペタラクトールなど)を体全体に塗りつけるための行動だったのです。これにより、猫は寄生虫や伝染病を媒介する蚊から身を守っていたと考えられています。


2. 「死亡は稀」の根拠と、過剰摂取の具体的な危険性

マタタビが直接的な死因となることは極めて稀ですが、与えすぎや与え方によっては深刻な健康問題を引き起こすリスクがあります。

危険性1:中枢神経の過度な刺激と呼吸器への影響

マタタビの成分が中枢神経を強く刺激しすぎると、麻痺や興奮状態が過度になり、最悪の場合、呼吸困難を引き起こす危険性がある、と長らく指摘されてきました。

現実には、少量で中毒症状を起こして動物病院を訪れるケースは稀ですが、安全性が完全に証明されているわけではありません。「人間が強い酒を飲みすぎるのが危険なのと同じ」ように、適量を守ることが大切です。

危険性2:嘔吐や下痢といった中毒症状

大量に摂取した場合、嘔吐や下痢といった消化器系の急性中毒症状を引き起こす可能性があります。

危険性3:マタタビの実による腸閉塞(誤飲・誤食)

特に注意が必要なのが、マタタビの実や枝を猫が丸呑みしてしまった場合です。消化できない硬い部分が消化管に詰まり、腸閉塞(異物による閉塞)を引き起こし、緊急手術が必要になることがあります。

粉末や液体だけでなく、またたびのおもちゃを与える際も、猫が噛み砕いてしまう危険性がないか確認しましょう。


3. 愛猫を守るための正しい与え方と注意点

猫の健康と安全を守るため、マタタビを与える際は以下のルールを守りましょう。

【与える際の基本ルール】

項目 適切な方法 備考
適量 ごく少量(指先でひとつまみ程度) 匂いを嗅がせるだけでも効果は出ます。
頻度 週に1〜2回まで 頻繁に与えると効果が薄れる、もしくは依存的になる可能性があります。
形態 粉末、液体、おもちゃなど 誤飲・誤食のリスクを避けるため、丸呑みしそうな実や枝は避けるか、必ず見ているところで与えてください。

【特に注意が必要な猫】

以下の猫には、マタタビを与えることを控えましょう。

  • 子猫(性成熟前):またたび反応に必要な神経回路が未発達なため、効果がないことが多いです。また、体に負担をかける可能性もあります。
  • 老猫:体に予期せぬ負担がかかる可能性があるため、体調を考慮して控えましょう。
  • 妊娠中の猫:子宮収縮作用のリスクが指摘されることもあり、安全のため避けるべきです。
  • 持病(心臓病、てんかんなど)がある猫:興奮による心拍数上昇やパニック発作を誘発する恐れがあるため、絶対に与えないでください。

【保管場所の徹底】

マタタビ好きな猫は、飼い主さんが隠した場所から探し出すことがあります。猫が勝手に取り出して大量に摂取しないよう、密閉容器に入れ、猫の手が届かない、開けられない場所に厳重に保管してください。


まとめ:マタタビはコミュニケーションのための嗜好品

マタタビは、猫の食欲増進や、ストレス軽減・リラックスを促すのに役立つツールです。

  • マタタビは、主にネペタラクトールなどの成分が脳の快感中枢を刺激し、猫に多幸感を与えます。
  • 過剰摂取は稀に中枢神経や呼吸器に影響を及ぼすリスクがあります。
  • 最も危険なのは、またたびの実や枝の誤食による腸閉塞です。
  • 適量を守り、子猫や持病のある猫には与えないようにしましょう。

マタタビはあくまで嗜好品であり、必須のアイテムではありません。愛猫とのコミュニケーションを深める道具として、正しい知識を持って安全に楽しんでください。


[出典・参考文献リスト]

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