MENU

猫に噛まれたら何科?病院に行くべき症状・正しい応急処置・診療科の選び方

猫に噛まれたら何科?病院に行くべき症状・正しい応急処置・診療科の選び方

猫に噛まれたら何科?病院に行くべき症状・正しい応急処置・診療科の選び方

猫に噛まれて、とても驚かれたことでしょう。痛みと不安で、どうしていいか分からなくなりますよね。傷は小さいのにズキズキ痛むし、病院に行くべきか迷うその気持ちは、決して大げさではありません。

まず一番にお伝えしたいのは、その迷いや心配は正しく、多くの場合、病院で専門家に診てもらうのが正解だということです。

この記事では、「病院に行くべきか」「行くなら何科がベストか」「今すぐ何をすべきか」が明確に分かり、もう迷わず行動できるように、医学的な根拠に基づいた正しい知識を解説します。


目次

【まず確認】猫の咬み傷を「これくらい平気」と甘く見てはいけない3つの理由

「こんな小さな傷で病院なんて大げさかな…」そう思われがちですが、猫の咬み傷は、犬の咬み傷や擦り傷とは全く違う、特有の危険性を持っています。専門的な処置が必要な医学的な理由が、主に3つあります。

  1. 感染症のリスクが非常に高い
    猫の歯は細く鋭いため、まるで注射針のように、皮膚の奥深く(深部)まで細菌を送り込んでしまいます。動物による咬み傷の中で、猫の咬み傷は30〜80%という非常に高い確率で感染症を引き起こすと報告されています。

  2. 「パスツレラ症」という特有の感染症
    猫の口腔内に常在しているパスツレラ菌によって引き起こされるのが「パスツレラ症」です。この感染症は進行が非常に早いのが特徴で、噛まれてから数時間で、傷の周りがパンパンに腫れ上がり、激しい痛みを伴うことがあります。治療の開始が遅れると、重症化するリスクがあります。

  3. 傷口が小さく、奥で化膿しやすい
    猫の咬み傷は、入り口がすぐに塞がってしまうため、見た目には大したことがないように見えがちです。しかし、皮膚の奥深くでは細菌が増殖し、膿が溜まってしまう「深部感染」を起こしやすいのです。これが、後から痛みが強くなる大きな原因です。

【重要】 「様子を見よう」という自己判断が、最も危険な選択肢になることがあります。パスツレラ症の進行は本当に早く、治療の開始が遅れるほど、治癒までの時間も長くなってしまいます。


【結論】もう迷わない!あなたの状況に合わせた診療科選び 完全ガイド

「病院に行く必要性は分かったけど、じゃあ一体、何科に行けばいいの?」

結論から言うと、形成外科、整形外科、皮膚科、外科などが主な選択肢になります。そして最も大切なのは、「どの科がベストか」と悩み続けて受診を遅らせるよりも、まずはアクセスしやすい、いずれかの科を速やかに受診することです。どの科でも、傷の洗浄や抗菌薬の処方といった、必要な初期対応は必ず受けられます。

その上で、あなたの状況に合わせたベストな選択ができるように、それぞれの科の役割と選び方の目安を解説します。

診療科 得意分野と役割 受診の目安
形成外科 傷のエキスパート。感染のコントロールに加え、将来的な傷跡をきれいに治すことを専門とする。 顔や手など、傷跡が気になる場所を噛まれた場合。
整形外科 骨、関節、腱(けん)の専門家。 手や指の関節近くを深く噛まれた場合。骨や腱の損傷が疑われる場合。
皮膚科・外科 傷の初期対応(洗浄、化膿止めの処方)を行う。 近くに専門的な科がない場合や、まずは感染予防のための初期対応を受けたい場合。

【診療科選びのフロー】

  1. 手や指の関節近くを深く噛まれた場合
    整形外科を第一候補に。
  2. 傷跡を残したくない場所(顔など)を噛まれた場合
    形成外科を第一候補に。
  3. 上記以外の場合、または最寄りの専門科が遠い場合
    皮膚科または外科で初期対応を受けましょう。必要に応じて専門医を紹介してもらえます。

病院に行く前に!今すぐできる唯一の正しい応急処置

病院に行くと決めたら、次はその道中や待ち時間に、傷を悪化させないための行動が重要になります。パニックになる必要はありません。あなたが今すぐご自身でできる、最も効果的で正しい応急処置は、実はとてもシンプルです。

やるべきことは、たった一つ。「流水で傷口をよく洗い流すこと」です。

応急処置は、病院での本格的な治療が始まる前の、非常に重要なステップです。物理的に細菌の数を減らすことが、感染のリスクを大幅に下げる上で最も効果的です。

✅ 正しい応急処置(OK行動)

  • 方法: 石鹸を使い、水道の流水で最低でも10分以上、念入りに傷口を洗い流してください。傷口を揉むようにして、中に入り込んだ猫の唾液(細菌)を洗い出すイメージです。
  • 止血: 洗浄が終わったら、清潔なガーゼやタオルで傷口をしっかりと押さえ、圧迫止血します。

❌ やってはいけない応急処置(NG行動)

  • 自己判断での消毒: アルコール消毒液などを直接かけると、傷の治りに必要な正常な細胞も傷つけてしまい、かえって治癒を遅らせる可能性があります。傷口の消毒は病院で行う処置に任せましょう。
  • 傷口に軟膏を塗る: 傷口を塞いでしまうことで、中で細菌が繁殖する温床を作ってしまう危険性があります。
  • 傷口を強く縛る: 圧迫止血で十分です。心臓に近い側を強く縛ると、血流が滞り、逆効果になることがあります。

猫の咬み傷に関するよくある質問(FAQ)

最後に、補足的な質問について、Q&A形式でお答えします。

Q1. 飼い猫に噛まれた場合でも、病院に行くべきですか?

A1. はい、行くことを強くお勧めします。パスツレラ症の原因となるパスツレラ菌は、野良猫だけでなく、室内で飼われている健康な猫の口の中にも普通に存在します。飼い猫だから安全、ということはありません。

Q2. 破傷風のワクチンは打ったほうがいいですか?

A2. 破傷風は、猫の咬み傷から起こりうる関連リスクの一つです。屋外の土に触れる機会のある猫に噛まれた場合や、ご自身のワクチン接種歴が不明な場合は、医師に相談してください。必要と判断されれば、破傷風トキソイドというワクチンを接種することがあります。

Q3. 治療費はどれくらいかかりますか?

A3. 症状や治療内容によりますが、健康保険が適用されます。初診で傷の洗浄と抗菌薬の処方だけであれば、数千円程度が目安になることが多いです。ただし、縫合や精密検査が必要な場合は、費用が変動します。


まとめ:正しい知識が、あなたと愛猫を守ります

猫に噛まれた時の不安な気持ち、少しは和らいだでしょうか。最後に、今日の最も大切なポイントをもう一度だけ確認しましょう。

  • ① まずは洗浄: どんな時でも、まずは水道の流水で10分以上、傷口をしっかり洗い流してください。
  • ② 迷ったら病院へ: 「これくらい平気かな?」と迷ったら、それは受診のサインです。決して大げさではありません。
  • ③ 診療科は状況で判断: 傷跡を気にするなら「形成外科」、関節や腱を心配するなら「整形外科」。迷ったら、まずは一番アクセスしやすいクリニックへ。

あなたの迅速で冷静な判断が、あなた自身と、大切な猫とのこれからの生活を守ります。心配しすぎることはありません。正しい知識が、あなたの何よりの味方です。

もし症状が強い、あるいはどうしても判断に迷う場合は、ためらわずに今すぐお近くの医療機関、または救急相談窓口(#7119など)に連絡してくださいね。


[参考文献リスト]

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次