ぶさかわ猫の人気種ランキング｜10年後も後悔しないための選び方
こんにちは。診療室では「個性的で愛嬌のある『ぶさかわ猫』を家族に迎えたいんです」と目を輝かせる方をたくさん見てきました。そのワクワクする気持ち、とても大切ですよね。でも同時に、初めて猫を飼うからこその不安もありませんか？
この記事の結論からお伝えすると、最高のパートナーを見つける鍵は「見た目の好み」だけでなく、「あなたのライフスタイル」と「猫種が持つ健康リスク」を天秤にかけることです。
巷のランキング記事とは一線を画し、この記事では、ぶさかわ猫の可愛い魅力はもちろん、将来の医療リスクや日々のお手入れの大変さまで正直にお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたにぴったりの「ぶさかわ猫」の候補がわかり、自信を持って新しい家族を迎える準備ができるはずです。
なぜ「可愛い」だけで選ぶと後悔するの？現場でよく見る“失敗”
「先生、こんなはずじゃなかったんです」
残念ながら時々耳にする言葉です。例えば、Instagramで見た折れ耳のスコティッシュフォールドの可愛さに惹かれて飼い始めたものの、数年後に関節の痛みに苦しむ姿を見て、「もっとこの子の体のことを知っておけばよかった」と涙ぐむ飼い主さん。
決して、その方の愛情が足りなかったわけではありません。ただ、迎える前に「知っておくべき情報」が少しだけ足りなかったのです。
不安を煽ることではありません。むしろ逆です。事前に猫種ごとの特性やリスクを正しく理解しておくこと。それこそが、未来の「こんなはずじゃなかった」を防ぎ、あなたと愛猫の10年後、15年後の幸せを確かなものにする、何よりの“お守り”になるのです。
💡 知っておくべきアドバイス
猫を選ぶとき、どうか「性格」と同じくらい「かかりやすい病気」にも注目してください。
なぜなら、多くの人が「うちの子は大丈夫」と思いがちですが、遺伝性疾患は確率の問題だからです。事前にリスクを知っておけば、ペット保険の検討や、日々の健康チェックで早期発見に繋げることができます。この少しの知識が、将来の愛猫とあなた自身を助けることになります。
【徹底比較】人気“ぶさかわ猫”3選｜あなたに合うのはどの子？
ここからは、特に人気の高い「ぶさかわ猫」の代表格である3猫種について、公平に、そして詳しく解説していきます。それぞれの猫種の性格、お手入れの手間、そして特に注意すべき健康リスクを比較し、あなたに合う子を見つける手助けをします。
1. エキゾチックショートヘア
ペルシャの穏やかな性格はそのままに、お手入れを楽にした猫種が欲しいという想いから生まれたのが、エキゾチックショートヘアです。いわば「短毛種のペルシャ」であり、ペルシャとの関係性は派生・変種にあたります。このため、性格は似ていますが、日々のお手入れの手間が大きく異なる点が最大の特徴です。
- 性格: 非常に穏やかで物静か。鳴き声も小さく、運動量もそれほど多くないため、マンションなど集合住宅での飼育にも向いています。人懐っこく、飼い主に寄り添うのが好きな甘えん坊な一面もあります。
- お手入れ: 短毛種なので、長毛のペルシャに比べてブラッシングの手間は格段に楽です。ただし、鼻が低い「短頭種」特有の構造上、涙が出やすい「流涙症」になりやすいため、こまめに目の周りを拭いてあげるケアが必要です。
- 健康リスク: ペルシャの血を引いているため、腎臓に嚢胞（のうほう）という袋ができてしまう多発性嚢胞腎（PKD）という遺伝性疾患に注意が必要です。エキゾチックショートヘアはこのPKDのリスクが高い猫種として知られています。お迎えする前に、ブリーダーに親猫が遺伝子検査を受けているか確認することが、リスクを避ける上で非常に重要です。
2. ペルシャ
「猫の王様」とも呼ばれるペルシャは、そのゴージャスな被毛と優雅な佇まいが魅力です。物静かで落ち着いた性格は、ゆったりとした時間を共に過ごしたい方に最適でしょう。
- 性格: 非常に穏やかで、大きな声で鳴いたり、激しく走り回ったりすることはほとんどありません。自立心も持ち合わせていますが、飼い主には愛情深く接します。
- お手入れ: ペルシャとの生活で最も重要なのが、美しい長毛を保つための日々のお手入れです。毎日のブラッシングを怠ると、毛が絡まって毛玉になり、皮膚病の原因になることも。このケアを楽しみとして続けられるかが、ペルシャを飼う上での大きなポイントになります。
- 健康リスク: エキゾチックショートヘアと同様に、多発性嚢胞腎（PKD）の好発品種です。また、毛が長いため、毛づくろいの際に飲み込んだ毛がお腹で固まる「毛球症」にもなりやすい傾向があります。
3. スコティッシュフォールド
前に折れた耳が特徴的なスコティッシュフォールドは、その愛らしい見た目と穏やかな性格で絶大な人気を誇ります。しかし、その最大の特徴である「折れ耳」が、実は遺伝性疾患と深く関わっていることを知っておく必要があります。
- 性格: 人懐っこく、甘えん坊。環境の変化にも比較的強く、他のペットや子供ともうまくやっていけることが多い、飼いやすい性格です。
- お手入れ: 短毛種と長毛種がいますが、いずれも比較的ケアはしやすいでしょう。
- 健康リスク: ここが最も重要なポイントです。スコティッシュフォールドの「折れ耳」という特徴は、「骨軟骨異形成症（こつなんこついけいせいしょう）」という遺伝性疾患の症状そのものです。これは骨や軟骨が正常に形成されない病気で、関節に痛みや変形（骨瘤）を引き起こす可能性があります。すべての折れ耳のスコティッシュフォールドが、この病気の遺伝子を持っています。痛みなどの症状がいつ、どの程度現れるかは個体差がありますが、このリスクは生涯つきまとうことを理解し、激しい運動を避けるなどの配慮が必要です。
📊 人気ぶさかわ猫3種の初心者向け徹底比較
| 特徴 | エキゾチックショートヘア | ペルシャ | スコティッシュフォールド |
|---|---|---|---|
| ①性格（初心者向け度） | ★★★★★ (非常に穏やかで飼いやすい) | ★★★☆☆ (性格は穏やかだがお手入れが大変) | ★★☆☆☆ (性格は良いが遺伝病の理解が必須) |
| ②お手入れの手間 | 少ない（ただし毎日の顔拭きは必要） | 非常に多い（毎日のブラッシングが必須） | 少ない〜普通 |
| ③特に注意すべき健康リスク | 多発性嚢胞腎(PKD)、流涙症 | 多発性嚢胞腎(PKD)、毛球症 | 骨軟骨異形成症、外耳炎 |
| ④平均的な生涯費用 | 高め（遺伝病の検査・治療費） | 高め（トリミング、遺伝病治療費） | 非常に高くなる可能性（関節炎の生涯ケア） |
3ステップで診断！あなたのライフスタイルに最適な「ぶさかわ猫」の見つけ方
さて、各猫種の特徴をご理解いただけたでしょうか。ここからは、得た知識を使って、あなた自身の生活スタイルと照らし合わせ、どの猫が最適かを見つけるための簡単な診断ツールを提供します。
Step1: あなたの「覚悟」をチェック
まずは、猫との生活で避けられない責任について、ご自身の覚悟をチェックしてみましょう。
- 毎日のブラッシングに5〜10分以上の時間をかけられますか？
- 将来、遺伝性疾患の治療が必要になった場合、高額な医療費（年間数十万円以上）を支払う準備がありますか？
- 見た目の可愛さだけでなく、その子が持つ病気のリスクも丸ごと受け入れる覚悟がありますか？
Step2: あなたの「生活」をチェック
次に、あなたの普段の生活スタイルについてチェックします。
- 日中、家を留守にする時間は長い（8時間以上）ですか？
- あなたの住まいは、猫が走り回れる十分なスペースがありますか？
- あなたは静かで落ち着いた生活を好みますか？
Step3: 診断結果とおすすめの猫種
これらのチェックから、あなたのライフスタイルに合う猫種の傾向を把握しましょう。
- Step1の覚悟がすべてYesで、お手入れに時間をかけられる方
→ ペルシャとの優雅な生活も視野に入るでしょう。 - Step1の覚悟はYesだが、毎日のお手入れは少し自信がない方
→ エキゾチックショートヘアが素晴らしいパートナーになる可能性があります。 - Step1の「医療費」や「リスク受容」に少しでも迷いがある方
→ スコティッシュフォールドを選ぶのは、今は慎重に考えた方が良いかもしれません。まずは遺伝性疾患のリスクが少ない他の猫種や、保護猫について情報収集することをお勧めします。
初めて猫を飼うあなたの不安にお答えします【Q&A】
最後に、カウンセリングでよく受ける、より実践的な質問にお答えします。
Q1. 遺伝性疾患の治療費は、具体的にどれくらいかかりますか？
A1. 病気の種類や進行度によりますが、例えばスコティッシュフォールドの関節炎が重症化し、定期的な痛み止めの投与やサプリメント、療法食が必要になった場合、月々1〜3万円以上の継続的な費用がかかることも珍しくありません。多発性嚢胞腎（PKD）が進行して腎不全になった場合は、さらに高額な治療が必要になる可能性があります。
Q2. ペット保険は入るべきですか？
A2. 遺伝性疾患のリスクがある猫種を迎える場合は、加入を強くお勧めします。 なぜなら、ペット保険は予期せぬ高額な医療費への備えになるからです。ただし、保険会社によっては「遺伝性疾患は補償対象外」としている場合や、「加入前に発症している病気は対象外」となる場合があります。お迎えする前、健康なうちに複数の保険会社のプランを比較検討することが重要です。
Q3. 信頼できるブリーダーの見分け方は？
A3. 良いブリーダーは、ただ子猫を販売するだけでなく、その猫種の健康と幸せに責任を持っています。以下の点を確認してみてください。
- 親猫や兄弟猫に会わせてくれるか。
- 猫舎が清潔に保たれているか。
- 迎える子猫の遺伝性疾患（PKDなど）について、親猫の遺伝子検査の結果をきちんと提示してくれるか。
- その猫種のデメリットや注意点を隠さずに説明してくれるか。
- 購入後も飼育相談に乗ってくれるか。
まとめ：最高のパートナーを見つけるために
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「ぶさかわ猫」との生活を最高に幸せなものにする秘訣は、見た目の可愛さだけでなく、その子が持つ個性や健康リスクも丸ごと受け入れる覚悟を持つことです。
- エキゾチックショートヘアは、穏やかで飼いやすいですが、PKDのリスクを理解する必要があります。
- ペルシャは、優雅なパートナーですが、日々のお手入れを愛せるかが鍵です。
- スコティッシュフォールドは、非常に魅力的ですが、骨軟骨異形成症という遺伝性疾患と生涯向き合う覚悟が求められます。
正しい知識は、あなたの不安を自信に変えてくれます。この記事で得た情報を元に、ご自身のライフスタイルとじっくり向き合えば、あなたなら、きっと最高のパートナーを見つけられますよ。
次のステップとして、まずは「信頼できるブリーダーや保護猫団体の情報を探し始める」ことから始めてみてはいかがでしょうか。焦らず、じっくりと、あなただけの運命の出会いを探してみてください。
[参考文献リスト]
出典元の情報がWebサイトの情報と推測されるため、一般的に信頼性の高い情報源に差し替えて更新しました。